本好きチェシャ猫の読書記

本があるから元気に生きていける!

【読書感想】「この王子様から逃げ切るのは難しいかもしれない」

本について

本との出会い

私がこの本と出会ったのは、仕事で行った出張先での本屋さんでした。
学会が終わってリフレッシュしようと、初めての本屋さんでウロウロ迷いながら目指すラノベのTLコーナー。

すっごく奥まった場所に私の渇望するその一帯があって、キラキラとした表紙がずらりと並んでいました。

至福、眼福。
TLって、表紙を眺めているだけで現実逃避できて幸せな気分になります。文字通り、夢みたいな世界が広がってるんですもん🤭💕

しばらく本棚の前を行ったり来たりしていると、私の目が一冊の本に釘づけになりました。

ずばりタイプの黒髪長身イケメンとかわいいドレスに身を包んだヒロイン。華やかなのに華美過ぎない上品な装丁。それが「この王子様から逃げ切るのは難しいかもしれない」だったのです。

2020年12月、出張先では雪が舞ってました⛄

あらすじ

「舞踏会さえ付き合ってくれたら、王太子を好きに使っていい。お買い得だろう?」没落した元伯爵令嬢のローゼが市場で出会った青年は、変装して城を脱走してきた王太子だった。彼が持ちかけたのは、舞踏会でのお妃選びを台無しにするための「かりそめの恋人契約」。引き受けたローゼだったが、舞踏会が終わったら今度は王太子の執務室で働かされることに!? 平民として堅実な生活を送りたいのに、王太子にあの手この手で褒美をちらつかされ……?

※Amazonkindleの商品ページより引用

感想

没落した貴族のご令嬢が、そうと知らずに王子と出会い王妃になる。
王道の恋愛小説です。ですが、私がこの小説を今でも読み返すほど好きなのには理由があります。

  • ヒロインが、TLのヒロインらしいかわいさと芯の強さを併せ持っている
  • しっかりとストーリーの設定が練られている
  • こういう小説にありがちなご都合主義がない
  • ヒーローが、完璧な王子(王太子)ではない

貴族のご令嬢であったはずのヒロイン:ローゼが、経験から学び自分の将来をしっかりと考え行動する姿に一度目の「彼女はただものじゃない」が降臨。そして、串焼きの肉を片手に街を歩く姿に二度目の「ただものじゃない」が脳にとどろく。私の心は、冒頭でローゼにガシッとわしづかみにされました。

貴族の令嬢としての生活からお針子に転落して、それでも前向きに溌溂と生きようとする彼女が清々しくて、これから始まる物語に期待が膨らんで好奇心をくすぐられます。

ローゼのお相手となるヒーロー:レオンハルトもとっても魅力的です。苦境にありながらも心根の優しい人物像が、作者のつづる文字から随所ににじみ出ています。
きゅんと萌える恋愛小説のヒーローって、言葉遣いや身分は様々だけど、やっぱり優しい人がいい🥰✨

途中でジレジレしますが、このジレジレがね、もうたまらないんです!簡単にレオンハルトのものにならないローゼがとっても好き!

レオンハルトを大事に思うからこそ、ローゼは悩んで自戒する。挿絵でさらに脳内で臨場感が増して、胸がきゅっと締めつけられます。

レオンハルトとは(というか誰とも)結婚しないというローゼをレオンハルトがデートに誘うシーンは、何度読んでも悶える。ジタバタ
いいです、とっても美味しいです(*ノωノ)

この小説の素晴らしい点は、王道中の王道ストーリーなのにしっかりと話が作り上げられていて、ご都合主義な展開がひとつもないところ。

二人が国王として王妃にふさわしい女性として、共に成長していく姿は圧巻の一言につきます。レオンハルトが自分になにを求めているのかを理解し、覚悟を決めたローゼの度胸は群を抜いてかっこいい。惚れます。

そして、プロポーズのシーンは感動のるつぼで、感極まって心の中で拍手喝采でした!
そのあとは、坂道を転がるがごとくハッピーエンドに向かって二人の絆が深まる様を堪能させていただきました。

ああ、こうして感想を書いている間も様々なシーンが走馬灯のように頭に流れて、とっても幸せな気分になります。


最後に…

何度も読み返すほど好きなので、この本は読む用と保管用に二冊買い、さらに電子書籍までダウンロードしました。

電子書籍っていいですよね。
スマホタブレットがあれば、本棚ごと持ち歩けるし、汚れないし、色あせないし、お布団の中でも読める。そして、好きな場面をブックマークしたりマーカーを引いたり消したり自由自在です。

心に残った所にコメントを挟んであとで読み返すと、「ああ、あの時の私ってこんな気持ちでここを読んでいたんだー」ってちょっと面白いです。